人類は地球上で2足生活を行うことにより、重力と地面からの反力により普遍的な影響を受けています。
言い換えれば力学的には常に圧縮される力が人体にかかっています。
重力及び地面からの反力を力学的に軽減できるようにDNAレベルでインプットされ、人体への普遍的影響を軽減できるよう備わっているものが生理的彎曲と呼ばれる脊柱のS状カーブにほかなりません。
赤ちゃんの首が座るようになるとき頸椎カーブが形成され、立位に至るまでの腰椎湾曲のトレーニングのためにハイハイ動作が行われるとの考え方ができます。
その後自立して立位を保てるようになるわけですが、はたしてこの時に筋力を意識して立っているでしょうか?
そうではないはずです!
無意識に重力バランスが最も優れた空間を認識しているのではないかと思います。
一種の磁場のような存在があるのではないかと考えるほどです。
(S極とN極がケンカせずに位置するような空間)
生理的彎曲の在り方をよく観察すると非常に優れたデザインが与えられています
前弯、後弯ともに放射状に重みを分散できる構造になっています。
しかしながら、悪い生活習慣などで正しい生理的湾曲が崩れると人体における力学バランスが崩れることになります。
一度バランスが崩れ始めると、脊柱における疾患、内臓の位置異常、自律神経バランスなど様々な疾患、不定愁訴の元凶になる可能性があります。
筋肉においては抗重力筋を中心とした異常な筋緊張や、異常な筋弛緩が発生します。
例えば側方重力線より頭部が前方に移動することにより僧帽筋が伸長される事による異常緊張や関連として小胸筋が短縮されることにより筋力低下を伴う拘縮が発生します。
脊柱に存在する椎間板が影響を受けると正しい骨格バランスの時には中心に存在する髄核の位置異常が発生し椎間板ヘルニアなどの椎間板の変性が発生する可能性があります。
脊柱以外にも足アーチが崩れると下肢アライメントに異常が発生し0脚、X脚、偏平足ハイアーチ、外反母趾などの症状が引き起こされる可能性があります。
その他、顎関節の軟骨の変形に伴う歪みのため噛み合わせ異常、口腔領域のゆがみによる歯列異常など人体の様々領域への悪影響の可能性があります。
これらのことを考えると本来、最も優れた力学的デザインを備える生理的湾曲を消失させる行為(姿勢を崩すような悪い生活習慣)がいかに愚かでもったいない行為であるかが容易に推測できるでしょう。